jewela’s blog

創造する人と伝統の新化をサポートし、愛あるモノを世界に広めます。

4回戦ボクサーのファイトマネーの話

こんにちは元プロボクサーのAKIです。

今日は元プロボクサーの僕がプロボクサーのファイトマネーに関してお話ししようと思います。ボクシングのファイトマネーって大体いくらかご存知でしょうか?

ファイトマネーの前に少しだけボクシングの制度について説明します。ボクシングは体重で分ける階級の他にA〜C級というクラスに分かれています。

A級:8回戦以上

B級:6回戦

C級:4回戦

この「回戦」というのはラウンド数の事です。C級の試合は4Rで行われるという事なんですね。A級ボクサーになるには

4回戦(C級)で4勝→B級に昇格

6回戦で(B級)2勝→A級に昇格

というルールがあります。ですから、A級ボクサーは6勝以上している必要があります。ただ、引き分けは0.5勝という扱いになるので5勝2分でもA級に昇格できます。

 

では、ファイトマネーはいくらぐらいだと思いますか?

ちなみにですがボクシング史上最高額のファイトマネーは1試合で200億円です。

これは那須川天心とエキシビジョンをしたフロイド・メイウェザーというボクサーが、フィリピンの英雄マニー・パッキャオと戦った際のファイトマネーです。

1試合で200億円ってすごいですよね!

日本の最高額は公表されていませんがミドル級の村田諒太選手だと思います。

推測ですが1試合2億円ぐらいではないでしょうか?!

トップになればすごく夢があるプロスポーツです。

 

さて4回戦ボクサーのファイトマネーですが答えは1試合6万円です。

これを高いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。なんせ4R(1R3分×4)で計12分なので時給にすると30万円になります。もちろんフルラウンドではなくKOで決着する事もあるので、1分で勝利したら分給6万円なのですごく高く感じますよね。

ただ6万円全てもらえる訳ではありません。なぜだと思いますか?

 

まずどのようにファイトマネーが支給されるかというと、12万円分のチケットで渡されます。つまりこれを売らなきゃいけないんですね。

これを全て売ればファイトマネーは12万円ですがほとんどのボクサーが売り切る事ができません。3000円のチケットなら40枚売らなければならないので1匹狼が多いボクサーにはかなりのハードルです。

 

そして更に支払わなければいけないお金があるんです。

実はプロボクサーは所属しているジムにマッチメイク料としてファイトマネーの33%を支払う契約になっています。つまり2万円弱をジムに払う必要があるんです。

これがあるのでもしチケットが売れなかったら、ファイトマネーなしで戦うのではなく、自腹を切って戦うことになるんですね...

お金を払って命がけで戦うって割りに合いませんよねw

 

ということでチケットを必死で売らなきゃいけないので、売るのが苦手な人は試合前に「チケットをどうしよう...」という気苦労もあります。試合前のハードな練習と減量があるのに、チケットを売らなきゃという焦りまであるので試合前は余計ピリピリします。

ただ、集客ってすごく大変ですよね。僕もイベントの責任者の時は集客が一番ヒヤヒヤします。イベント開催して誰も来なかったら開催する意味がなくなっちゃいますし...

できるだけ出演者にも観客を集めてもらいたい!という気持ちも今なら理解できます。

 

ちなみにですがチケットを売らなくても良い興業もあります。

僕自身は2回経験があるのですが、1回目はアウェーで戦った時です。僕は東京のジム所属だったのですがデビュー戦は名古屋でやりました。僕の周りのボクサーは全員ボクシングの聖地「後楽園ホール」でデビューしていたので、僕もデビュー戦は後楽園だとばかり思っていたらまさかの名古屋でしたw

名古屋に知り合いなんていないのでチケット売れないですよね!その時は、当時の会長が名古屋出身の世界チャンピオンだったので、全て捌いてくれました。会長にはすごく感謝しています。

それから試合には「激励賞」という別の収入があります。これは知り合いやスポンサーが選手にお金を支援してくれるシステムで、相撲の懸賞金みたいな感じだと思って下さい。

僕の名古屋でのデビュー戦は負けましたが(地元判定で負けにされたので審判を殴ろうとしたことは内緒です)めちゃくちゃに打ち合って、すごく盛り上がったんです!

その1ヶ月後に会長に呼ばれて、「俺の知り合いがお前の試合に感動して、激励賞を渡しといてと言われたからこれ渡すね!ジムには内緒ね!」と、激励賞を手渡しでいただきました。なぜジムに内緒かというと激励賞もジムに33%支払わなければいけないんです。なので会長はこっそり僕に渡してくれたんですね。会長には今でも感謝しています。

2回目は世界タイトルマッチの前座に出た時です。これは客数が見込めるのでチケットを売る必要がなく、試合後に4万円手渡しでいただきました。

それも滅多にないことなので、ボクサー時代って本当に色々大変だったなと思います。ただ、すごく貴重な2年間を過ごさせてもらったので、プロボクサーになって良かったなとも思っています。現役の頃よりきついことって人生の中でなかなかないですし、元プロボクサーって言えば印象に残してもらいやすいので、いい事の方が多いと改めて感じます。

ただ、自分の娘にはボクシングはやって欲しくないですが...

という事で今回はボクサーのファイトマネーに関してのお話をさせていいただきました。いかがでしたでしょうか?ボクサーってすごく大変なので、もし近くにボクサーがいたら、ぜひとも応援してあげて下さいね♪

 

以上、AKIでした。